物語1|ヘルメスの魂の目覚め 〜『ポイマンドレース』より〜

 


ヘルメスがポイマンドレース(「神の叡智の存在」)という神的存在から啓示を受ける物語




ある日、深夜。
星々が静かに語りかけるように瞬く頃――
哲人ヘルメスは、ひとりアレクサンドリアの丘に座していた。

目を閉じ、心を鎮めていた彼は、ふと天に問いを投げかけた。

「この宇宙はいかにして生まれたのか?
人はなぜ地上に生を受け、何のために生きるのか?」

その瞬間、まばゆい光が彼の内なる視界を満たした。

光の中から、巨大な存在が声を発した。

「私はポイマンドレース。
おまえの魂に語りかける神の精神である。」

ヘルメスは恐れることなく、むしろ胸を震わせながら尋ねた。

「神の精神よ、私にこの世界の秘密を教えてください。
宇宙の根源、人の本性、そして神の意志を。」

ポイマンドレースは応えた。

「最初にあったのは《光》であった。
そして光の中に《知性》が生まれた。
神はその知性を通じて万物を創造した。」

ヘルメスの目の前に、幻視のように宇宙の創造が展開されていった。
混沌、火と風、水と土……そして星々、天球、生命の誕生。

人間が創られるとき、ポイマンドレースは続けて言った。

「人間は、神の似姿として造られた。
しかし、物質世界に惹かれ、肉体という牢獄に囚われた。」

ヘルメスの胸が締めつけられた。

「では、人はどうすれば真の自由を得られるのですか?」

ポイマンドレースは静かに語った。

「《自己を知る》のだ、ヘルメスよ。
自らの内にある《神の光》を思い出すのだ。
思考を清め、真の知識に目覚めた者だけが、
再び天に昇り、神とひとつになることができる。」

光がやがて静かに消えていくとき、ヘルメスは涙を流していた。
その涙は悲しみではなかった。
それは、魂が真実に触れたときの喜びの雫だった。

彼はそっとつぶやいた。

「私はこの叡智を人々に伝えよう。
魂を目覚めさせる者となろう。」

こうして、「三重に偉大なる者」ヘルメス・トリスメギストスとしての歩みが始まった――。

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