物語2|ヘルメスの魂の目覚め2 〜『ポイマンドレース』より〜
第2章:弟子タトとの対話
月が高く昇った翌晩、
ヘルメスは自室に戻り、弟子タトを静かに呼び寄せた。
タトは若く純粋で、師の教えに心を燃やす賢き青年であった。
「師よ、あなたの眼差しが昨日と違います。
まるで、宇宙を見渡すようなまなざしです。
一体何があったのですか?」
ヘルメスはゆっくりと頷き、静かに語り始めた。
「タトよ、私はついに"全なる叡智"と出会った。
ポイマンドレースと名乗る神の精神が、私に宇宙の始まりと魂の道筋を教えてくれたのだ。」
タトは驚きながらも真剣に耳を傾けた。
「その叡智とは……どのようなものなのですか?」
ヘルメスは窓の外の星々を見つめながら、深く語った。
「すべては《一者》から始まった。
光は《意識》を生み、意識は《言葉》を生み、言葉は《かたち》を創った。
人間はその流れの中で、神のイメージとして創られた。だが――」
少し言葉を区切り、重く続ける。
「――肉体に囚われ、物質に魅せられ、魂の目を閉ざしてしまった。」
タトの目に、疑問と希望が入り混じる。
「では、私たちは失われたのでしょうか?
神に帰る道は、もう閉ざされたのですか?」
ヘルメスは首を振り、弟子の肩に手を置いた。
「いいや。むしろ今こそが《目覚めのとき》だ。
内なる神を思い出し、心を浄化し、魂を天に昇らせる者こそ、
再び《永遠の光》とひとつになるのだ。」
タトの目に火が灯る。
「私は学びたい。
真理を知りたい。
あなたのように、神と語り合える魂になりたい。」
ヘルメスは微笑む。
「では、まず最初に学ぶべきは《沈黙》である。
喧騒の中では、魂の声は聞こえぬ。
タトよ、自らの内に沈み、問いかけ、待ちなさい。
そうすれば、宇宙そのものが答えるだろう。」
夜の静寂の中、ふたりの間に神聖な静けさが広がった。
それはただの沈黙ではなかった。
**魂の奥底で、神と響き合う“言葉なき対話”**が始まっていた。
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